Research
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熱エネルギー移動機構の階層的モデルの構築にむけて:分子から細胞へ
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はじめに
生体分子の内部、あるいは生体分子と溶媒の間でどのように熱エネルギーが流れているのかを調べるため物性理論と分子動力学シミュレーションを用いた研究を展開しています。
タンパク質内部の熱エネルギー移動
研究室で開発したプログラムをつかって、タンパク質の分子運動中に生じている熱やエネルギーの流れを詳しく調べています。
タンパク質と溶媒間の熱エネルギー移動
タンパク質の構造やダイナミクスはタンパク質分子自身の組成のみならず、溶媒や環境との相互作用にも大きな影響を受けます。それではタンパク質と溶媒の間ではどのように熱エネルギーのやりとりが行われるのでしょうか?熱平衡状態における溶質(タンパク質分子)相と溶媒相はそれぞれに固有の振動数分布をとっていると考えられます。そして、これらの振動数分布は分子動力学シミュレーションによって速度相関関数を計算することで得られます。そこで、溶質と溶媒の界面においてそれぞれの振動数分布の重なりを通じて振動エネルギーのやりとりが起こると想定する理論的なモデルを使って、2つの相の間の熱伝導率を評価することができます。我々は、このようなアプローチをつかってタンパク質と溶媒の間の熱エネルギー移動の機構をしらべています。
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タンパク質の熱エネルギー輸送ネットワークモデル
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はじめに
天然状態のタンパク質中に生ずるNon-bonded native contactは機能的に重要です。そこで、これらのコンタクトにおける局所熱エネルギーの輸送係数に基づいてアミノ酸のネットワークモデルを構成し、タンパク質の動作機構をしらべます。
酸素センサー
根粒菌のタンパク質FixLにおける酸素センサードメイン(FixLH)は、気体分子の結合シグナルをHistidine kinase domainに伝達します。われわれは酸素結合状態および非結合状態のFixLHのエネルギー輸送ネットワークグラフを比較し、酸素検出に関与するアロステリックな状態遷移機構を調べました。
Hidden Dynamic Allostery
PDZ3ドメインタンパク質はC末端のヘリックスを切除すると構造を変えることなくリガンド結合能を失うことがしられています。我々は天然状態とC末端ヘリックス欠損状態のPDZ3ドメインのエネルギー輸送ネットワークを比較し、ヘリックス切除がリガンド結合能を失わせる機構を調べました。